加賀百万石に始まる、石川県のものづくりの歴史
加賀百万石のきらびやかな文化が息づく石川県。徳川将軍家に次ぐ大藩だった加賀藩は、その豊かな財力を文化政策に注ぎ込み、さまざまな伝統工芸が発展しました。長い歴史とともに受け継がれてきたものづくりのDNAが、今も石川県の産業を支えています。
石川県南部にある加賀市は、加賀温泉郷で知られる観光のまち。山中漆器や九谷焼など、伝統工芸が盛んなエリアでもあります。こうした伝統の技術力やノウハウを生かし、新たな価値を生み出す企業として近年注目を集めているのが、プラスチック製品メーカーの石川樹脂工業です。
用の美を極めたプラスチック製タンブラー
返礼品の「ゆらぎタンブラー」は、石川樹脂工業が展開するテーブルウェアブランド「Plakira(プラキラ)」の人気商品。金沢のクリエイター集団secca(セッカ)とタッグを組んだシリーズで、口もとがゆるやかにカーブを描くシンプルで美しいデザインや、ガラスのような透明感が魅力です。
「美しさを追求し、長く使っていただきたいので飽きのこないデザインに。そして使い手のことを考え、機能性にも徹底的にこだわりました」と専務取締役の石川勤(いしかわつとむ)さん。早速「Plakira」の魅力をご紹介しましょう。
かゆいところに手が届く使いやすさ
飲み口は、なんと1mmという薄さ。何度も試作を繰り返した結果、最も口あたりが良く、飲み物がおいしく感じられるのが、1mmという繊細な薄さだったそうです。
口もとの曲線は飲み口をなめらかにするだけでなく、洗って逆さに乾かす時に空気がこもりにくく、乾きやすくするための工夫。「内側をのぞいてみてください。外から見ると底は円形ですが、内側は三角形になっているのが分かりますか?」と石川さん。確かに、底の内側は丸みを帯びた三角形。内側の形状を変形させることで、重ねた時に隙間をつくる設計です。コップを重ねると、間に水滴が残ることがありますよね。そうした衛生面にも配慮したデザインというわけです。
何度落としても割れない!新素材トライタン
驚くのは1000回落としても割れないという耐久性です。今回の返礼品も「生涯割れない保証付き」。本当に割れないんですか?という問いに「割れません。もし割れてしまったら無償で交換します」と石川さんも自信たっぷり。「弾力性があって、こうやって力を加えても割れないんですよ」と、タンブラーをぎゅっとつぶして見せてくれました。
この耐久性を実現したのは「トライタン」という新素材樹脂。ガラスのような透明度があり、耐熱温度は100度なので熱い飲み物にも使えます。もちろん食器洗浄機もOK。有害物質を含んでおらず、哺乳瓶にも採用される安全性の高い素材です。
家の中でも外でも、あらゆるシーンで活躍
軽くて丈夫な上、使い勝手が良く、普段使いにもぴったりのタンブラー。割れる心配がないので、小さな子どもがいる家庭にはもちろん、ハードな使い方をすることが多いアウトドアにも最適です。透明感を生かして、スイーツの器として使うのもおすすめだとか。
ゆらぎタンブラーはS・M・Lの3サイズがあり、今回の返礼品はMサイズで容量320ml。心地よいデザインが、普段の暮らしの中にアクセントを添えてくれます。
プラスチックのイメージを変えたい
石川樹脂工業は戦後間もない頃に創業しました。漆器の木地販売からスタートし、時代のニーズとともに素材を木から樹脂へとシフト。食器から仏具、工業用部品などの分野に進出するなど、常に新しい挑戦を続けてきました。
創業時から根底にあるのは「誰もやらなかったことをやる」という精神。新しい挑戦、新しいアイデアを大切にするのが同社流です。
石川さんが取り組むのは、プラスチックに新たな価値を見出すこと。「近年は環境問題などで、プラスチックは悪者という風潮があります。リサイクルに関しても、実はほとんどのプラスチックは燃料として燃やされています。私たちは企業の責任として、環境負荷について考えていきたいんです」と、100%リサイクル可能なトライタンに、その思いを託します。
キーワードはサステナブル(持続可能)。ゆらぎタンブラーが生涯使える品質とデザインにこだわった背景には、こうした思いも込められています。価値観を共有する有名リゾートホテルなどでも同社の製品が採用されたり、大手外食チェーンでは使えなくなったトライタン製のコップをリサイクルしたりする取り組みも進んでいます。
毎日使いたい、生涯愛用したいタンブラー
ゆらぎタンブラーの口もとのゆらぎは、ガラスでは表現が難しい、プラスチックの強みを生かしたカタチです。「プラスチックにしかできないことがある。利点を生かしたものづくりをしたい」と石川さん。新素材トライタンと、いつまでも色あせないデザインや機能性で新しい価値を提案するタンブラーは、きっと手放せないアイテムとなるに違いありません。
強く美しい。新しいプラスチックのカタチを届けたい
返礼品のタンブラーは、5色いずれも透明感を生かした美しい色あい。高級感があり、長く使っても飽きない色にこだわりました。1000回落としても割れないのに加え、なんと1000回洗っても変形や変色がないのも嬉しいポイント。まさに驚くべき耐久性です。重ねてコンパクトに持ち運びできるので、ピクニックにBBQにと屋外でも重宝しそうですね!
「何十年も使ってもらいたいんですよ」と話す石川さんの言葉には、商品への並々ならぬ愛情が感じられました。これまでのプラスチックのイメージをくつがえす強くて美しいタンブラー、ぜひ手に取ってみてください。
中部支部(石川県加賀市担当 ) / 森井 真規子(もりい まきこ)
石川県小松市在住のライター。航空自衛隊、海外生活を経て故郷にUターン。金沢のライター事務所で修業を積み、2005年からフリーランスで活動しています。出会う人やモノ、コトのストーリーを丁寧にすくいあげ、分かりやすい言葉で伝えることを心がけています。
石川県南部の加賀市は、加賀温泉郷を有する観光のまち。山中塗や九谷焼など伝統工芸品の産地としても知られます。