高槻から全国へ。ほんまもんの味を届ける通販専門店「柚子香」
京都と大阪の中間地にある大阪府高槻市。 交通の便がよく、面積の4割以上が森林で、紅葉の名所「摂津峡」などでも知られる自然に恵まれたまちです。また、日本でも有数の古墳地帯であり、2021年春には22ヘクタールもの安満遺跡(あまいせき)公園が全面開園しました。
JR富田駅からロータリーのある北口を出て、徒歩5分。ビルの1階に「柚子香」(ゆずか)はあります。おじゃますると、ほんのり柚子の香り。店主の木村敬宣(たかのぶ)さんが板前時代、徳島出身の親方との縁で柚子の魅力に引かれたことが店名の由来です。
人を喜ばせる幸せ。「これは旨い」と感じたものだけを届けたい
店主の木村さんは「和食の料理人になろう」と、高校卒業後に板前の世界に足を踏み入れて以降、料理一筋40余年。「京料理を学びたいと実家の高槻から15年間、京都に通い続けました。その間、鯖寿司と手打ち蕎麦それぞれの“師匠”との出会いがあり、修業を重ねて自分が食べて旨いと思えるものを作れるようになりました」と、目を輝かせます。
60歳を手前に、生まれ育った高槻で立ち上げた通販事業が「柚子香」。主軸は京都の修業で培った「黄金の鯖寿司」と 「白銀の手打ちそば」です。なかでも「黄金の鯖寿司」は、厳選した金華鯖と魚沼産コシヒカリ、求肥昆布、これらをほのかな柚子の香りで包み込む自信作です。
伝統に新しさを加えた、これまでにない鯖寿司を追求
木村さんは、鯖寿司に並々ならぬ思い入れがあります。一人目の師匠は、京都のホテルに勤める京料理人。「鯖寿司と言えば、京都を代表するハレの日の料理で伝統があります。だけど親方は現状に満足せず、常に新しい味を追求していた」と、振り返ります。最上級の鯖だけでなく米、昆布、風味を決める合わせ酢にもこだわり、木村さんと共に研究を重ねました。
鯖寿司に使用するのは、宮城県石巻のブランドサバ「金華鯖」。なかでも1キロ以上はある「肉厚な特1番手」という希少価値の高い“一汐鯖(ひとしおさば)”を扱っています。
「これまでたくさんの鯖を仕入れてきましたが、脂の乗りがよく通年で安定しておいしい石巻港の金華さばにたどり着きました」。この一汐鯖をこだわりの合わせ酢に付け込み、その後、ていねいに骨を抜きます。
金華さば、寿司飯、求肥昆布が織りなす芳醇なハーモニー
「黄金の鯖寿司」には、試行錯誤を重ねてきた工夫が詰まっています。酢飯に使うのは、魚沼産こしひかり。独特の甘さがあり一粒毎にしっかりとした弾力のあるのが特長です。これに少量の餅米を入れて炊くことで“もっちり感”が生まれ、時間が経ってもかたくなりにくいご飯に。合わせ酢には京都の千鳥酢などを使い、さらに徳島県の柚子酢をふりかけ、甘酸っぱい寿司飯に仕上げます。最後は北海道・道南産の求肥昆布を巻き、黄金の鯖寿司が完成します。
完成まで時間を要し、さらに一晩熟成させることでうま味成分が増します。金華鯖、寿司ご飯、求肥昆布、そして柚子酢の組み合わせやバランスにも「柚子香」ならではのこだわりや、さじ加減があります。
「現代の名工」を師に培った、手打ち蕎麦の技
今回の返礼品は、脂ののった鯖寿司と手打ち蕎麦。これはリクエストが多かった組み合わせで、なるべくして生まれました。もともとご実家が高槻市・辻子の蕎麦屋さんであった木村さん。「実家は製麺したものを使っていたので、手打ち蕎麦の腕を磨いてお客さまをもてなしたい」と、次に京都の老舗蕎麦店で修業を積みました。
木村さんにとって、二人目になる師匠は、国の「現代の名工」にも選ばれた手打ちそば職人。「親方に認めてもらうまでには時間がかかったけど、お客さまから直接、お褒めの言葉をいただけるようになってやりがいを感じた」。やがて料理長となって腕を振るまでになりました。これら料理人としての経験が、今回の返礼品をはじめ、木村さんのいまに活かされているのです。
丹精を込めて打ち上げる、薫り高い手打ちそば
素材選びに一切の妥協がない柚子香。それは蕎麦も同じことです。奥出雲の蕎麦の実を「石臼」でゆっくり挽いた最高級のそば粉を木村さん自らが丹精込めて打ち上げます。殻付きの「玄そば」を使っているため、香り高く、栄養価にも優れています。付属のめんつゆは、昆布と鰹のたっぷり効いたそば出汁です。そして、生わさびは蕎麦のおいしさを引き立てる安曇野産。今回のセットには「本匠兼正 鮫皮おろし」が付きます。
蕎麦はのど越しを味わうものだと言われますが、こちらは歯ごたえのある手打ち蕎麦。まずは何も付けず食べてみると、そば本来の味わいから楽しめます。次に出汁で、そば湯にも栄養がたっぷりあります。
料亭を超える味わいを届けるため、腕を磨き続ける
柚子香がこれまで作ってきたものの中で、「おいしい」「また食べたい」との声が多かった「黄金の鯖寿司」と 「白銀の手打ちそば」を組み合わせたリュスクセットです。「リュクス=豪華な」の言葉通り、立派な桐箱入り。もちろん、ハレの日や贈答用にもぴったりです。ご注文後に手作りすることから、一日限定10食。黄金の鯖寿司は、発送の翌2日間が熟成がすすみ食べ頃です。
「なによりも 『おいしい』という声がはげみになっています。『もう一度柚子香のあの味を食べたい』という、病床のお客さまからのエピソードを聞いて、胸にこみ上げるものがありました。大切な人とかけがえのない時間を過ごしてもらうために、“おいしい”を追い求めたい」と、木村さん。“料亭を超える味わい”をお届けするために、これからも腕を磨き続けます。
近畿支部(大阪府高槻市担当)/ 仲底 まゆみ(なかそこ まゆみ)
大阪生まれ、京都・奈良育ち。古いものと新しいものが混在するまちや、路地裏を歩くのが好き。取材を通して、地域の魅力を引き出すことが目標です。大阪市在住。
大阪でも京都でもない独自の文化をもつ高槻。かつての宿場町であり、ハイカラな古い教会も。高槻のセントラルパークである「安満遺跡公園」は、弥生時代の安満遺跡を活かし、かつ防災機能も備えた憩いの場になっています。