総務省は「利用者に対しポイントを付与するサイトを通じて自治体が寄付を募ることを2025年10月から禁止する」などの制度改正を含めた、ふるさと納税制度のルール見直しを発表しました。
この記事ではルールの変更が今後のふるさと納税にどのような影響を与えるか、解説していきます。
ふるさと納税で仲介サイトのポイント付与が禁止に!なぜ?いつからどうなる?徹底解説
ふるさと納税の基本ふるさと納税仲介サイトの「ポイント付与」とは
ふるさと納税の受付や運営は各自治体が行っています。
一方で、返礼品などの特典を広く一般に知ってもらわなければ、なかなか多くの寄附が得られません。
そのため、情報拡散力のある「ふるさと納税サイト」に仲介をしてもらい広く宣伝を行うことで、認知度のアップを図っています。
そして「ふるさと納税サイト」を通すと手続きが簡略化されてスムーズに寄付できるように工夫されているので、利用者にもメリットがあります。
また、利用特典としてポイント還元を受けられるサイトも多数あり、貯めたポイントをふるさと納税や他の買い物でも利用できます。
ポイント付与を行う仲介サイトは現状多数ある
ふるさと納税の比較サイト「ふるさと納税ガイド」に掲載されているポータルサイトのうち、半分以上のサイトがポイント還元を行っています(参考:ふるさと納税サイトの完全比較表)。
複数の条件をクリアすると寄付金額に対して最大30%以上のポイント還元を受け取ることができるサイトや、抽選に当たると最大50%相当のAmazonギフト券がもらえるサイトもあります。
2025年9月まではポイント付与は違法とならない
今回の制度改正が執行されるのは2025年10月からの予定です。
2024年のふるさと納税はもちろん、2025年9月までは各ポータルサイトのポイント還元は続くことが予測されます。
ふるさと納税の寄付は年末に集中することが多いですが、2025年は9月の駆け込み需要が発生するでしょう。
仲介サイトからのポイント付与が禁止になるのはいつから?
2025年10月からは、ポイント還元を行うポータルサイトから自治体に寄付申込をすることが出来なくなりますので、実質的にポータルサイトからのポイント還元は終了します。
総務省がふるさと納税のポイント付与を禁止した理由
総務省は今回の制度改正の趣旨として次のように述べています。
ポイントを付与する仲介サイトを通じた募集を禁止することで、自治体がサイトに支払う手数料を減らすことができれば、集めた寄付をほかの事業に使えるようになるのではないか
確かに手数料が下がれば経費率が下がり、自治体が自由に使えるお金が増える可能性があります。
その一方でポータルサイトを通しての寄付が減ってしまった場合、各自治体が寄付額を伸ばすためには各自マーケティング活動を強化する必要が出てきます。
1,700を超える自治体がそれぞれ日本全国へのマーケティング活動を頑張っても、非効率になってしまうリスクもあるでしょう。
ふるさと納税という制度はこれまで、各ポータルサイトのマーケティングが効率的に行われてきたからこそ利用者を順調に毎年伸ばしてきたとも言えるので、今回をきっかけに制度利用者の拡大が鈍化してしまうかもしれません。
なお、総務省が2024年6月28日に発表した資料にはポイント付与以外にも以下の禁止等について書かれています。
- 民間事業者等が行う返礼品等を強調した宣伝広告
- 地域との関連性が希薄な利用券等
ポイント付与禁止に対しての各ポータルサイトの反応
楽天ふるさと納税は「断固反対」
ふるさと納税にポイント付与を禁止! プラットホームが負担しているポイントも禁止とか、意味が不明だ。小さな自治体が自助努力で財源を確保しようとして、一般の方が楽しみにしている、創意工夫、地方に恩返しという思いをぶっ潰そうとしている。断固反対する。傲慢すぎる。https://t.co/JPipwZCDTx
— 三木谷浩史 Hiroshi (Mickey) Mikitani (@hmikitani) June 27, 2024
楽天グループ株式会社で代表取締役会長兼社長を務める三木谷氏は、X(旧Twitter)で「断固反対する。傲慢すぎる。」などと述べています。
ふるなびは「定められたガイドラインに沿った適切な運用を行う」
ふるなびを運営する株式会社アイモバイルは2024年6月28日に提出した適時開示書類「総務省発表のふるさと納税制度の見直しについて」にて、「今後も本制度の設立趣旨に則り、定められたガイドラインに沿った適切な運用を行い」などとコメントしています。
ふるさとチョイスは「既に制度趣旨に合致した運営を行っている」
ふるさとチョイスを運営する株式会社チェンジホールディングスは2024年6月25日に提出した適時開示書類「総務省より発表されたふるさと納税制度に関する変更に伴う対応について」にて、「当社グループにおいては、従来から既に制度趣旨に合致した運営を行っているため、今後も制度趣旨に沿った方針をさらに強化いたします。」などとコメントしています。
さとふるは「賛成」
ポイント付与を禁止する総務省の方針について、さとふるは日本経済新聞の取材で賛成する方針を示しました。
「ふるさと納税へのポイント付与禁止」に反対するネット署名がスタート
2024年6月28日、楽天IDを使って署名をすることができる「ふるさと納税のポイント付与禁止」に反対するネット署名が始まりました。
ふるさと納税の総務省告示に対する反対署名が100万件を突破
2024年7月8日、楽天グループはふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示に対する反対署名総数が100万件を超えたことを発表しました。
楽天は反対表明会見で見解などを説明
2024年8月7日、「ふるさと納税仲介サイトでのポイント付与禁止」について、楽天は記者会見で反対を表明した見解などを説明しました。
総務省は、「ポイント付与を禁止することで仲介サイトの手数料を下げる」としていますが、楽天は「ポイントの原資を地方自治体には負担を求めておらず、楽天が負担しているため、仮にポイントを禁止しても手数料が下がることはない」ことなどを説明しました。
ネット署名などふるさと納税サイトの反応に対しての総務省の発言
楽天のネット署名など、ふるさと納税サイトの反応に対して総務省は2024年7月2日、以下のように述べています。
ポイントの原資まではコメントできないが、金の流れを見れば寄付額から仲介サイトに入り、そこからポイントの金も出ていると言ってもいい部分もあるのではないか。そうしたお金の流れは、やめていただきたいということで禁止させてもらった。
関係する事業者とはこれまでも丁寧に話をし、システム改修に一定の期間がかかるということで、来年10月からとさせてもらった。ふるさと納税の本旨にかなった適正化を目指すことに理解いただけるよう引き続き丁寧に説明していきたい。
ポイント禁止後、ふるさと納税はどうなる?
各ポータルサイトからのポイント還元が無くなっても、各自治体の事業者が提供する豪華な返礼品は引き続き受け取ることができ、ふるさと納税が魅力的な制度であることには変わりありません。
ポイント禁止後、ポータルサイトの選び方はどうなる?
各ポータルサイトはポイント還元が出来なくなると、サイトの使いやすさを向上させたり、自治体とタッグを組んでサイト限定の返礼品を増やしたりすることが予測されます。
各サイト限定の返礼品が増えた場合、各サイトを見比べる必要があり、その時には本メディア「ふるさと納税ガイド」のように複数サイトに掲載されている返礼品を一括検索できるサイトを利用することで、より良い返礼品が見つかる可能性が高まるでしょう。