大手ポータルサイトに掲載されている返礼品を横断比較できる「ふるさと納税ガイド」は、2020年の業界トレンド予測を7つのキーワードと合わせて発表します。
2020年はどうなる?ふるさと納税業界トレンド予測
お知らせふるさと納税 2020年キーワード①「還元率」
2019年6月からスタートしたふるさと納税の新制度では、自治体が返礼品を送付する場合「調達額が3割以下の地場産品に限る」ことが義務になりました。
この規制により、それまで人気だった「還元率40%以上の換金性が高いギフト券」「海外メーカー製のドライヤー」のような返礼品が姿を消しました。
お得を求める利用者にとっては今回の規制で「どの返礼品がお得か」が分かりづらくなりましたが、寄付金額に対して「還元率が高い返礼品をもらいたい」というニーズは引き続き多く存在します。
そして各自治体は規制の範囲内で、少しでも魅力的な返礼品を提供しようと工夫を続けています。
大量の買い付けを行う自治体は市場に出回っている販売価格よりも安く調達できているケースもあるため、調達額は3割以下でも一般消費者が購入できる金額で考えた時の「還元率(返礼率)」が3割を上回るお得な返礼品も提供されています。
今後も自治体と提供業者の創意工夫により還元率が高い返礼品が出てくることはもちろん、スーパーやコンビニの「PB商品」のように、ふるさと納税限定のお得商品を提供する自治体も増えることが予想されます。
ふるさと納税 2020年キーワード②「泉佐野市など4自治体の復活」
2019年6月の制度改正後、以下4つの自治体はふるさと納税制度の対象外となりました。
- 大阪府泉佐野市
- 静岡県小山町
- 和歌山県高野町
- 佐賀県みやき町
一方で、除外になった各自治体も2020年7月には復帰に向けた再申請ができる見通しです。
再開に向けて、各自治体が魅力的な返礼品の開発を進めています。
(参考)佐賀県みやき町が返礼品にビールを商品化
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/568760/
4自治体ともに、復活すれば「制度の範囲内で」利用者を存分に魅了する返礼品を出してくることが予測されます。
※現在対象外になっている自治体の詳細や背景は以下のページをご覧ください。
ふるさと納税 2020年キーワード③「食材以外の返礼品」
自治体に課せられた規制の「地場産品」の定義ですが、その地域で収穫した食材以外にも「製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行った」製品も認められています(※)。
そのため、現状も家電やゲーム、日用品などの返礼品も存在します。
食材に比べれば各自治体にとって「地場産品」として提供するハードルは低いため、今後も家電や加工食品などのジャンルで返礼品のラインナップが増えることが予測されます。
※参考:総務省自治税務局
ふるさと納税 2020年キーワード④「東京オリンピック・パラリンピック」
今年開催予定の「東京オリンピック・パラリンピック」をきっかけにスポーツの素晴らしさや大会を行う効果を実感し、「各地で大会を開催する」ことへの応援も集まりやすくなるでしょう。
昨年も「かごしま国体」応援企画の返礼品(2020gの黒毛和牛)が大人気でしたが、今年も国体開催や他のスポーツ大会実施に向けた支援を、ふるさと納税を通して募る自治体が増えると予測されます。
ふるさと納税 2020年キーワード⑤「自治体直営サイト」
最近は、ふるさと納税の寄付をポータルサイトと直営サイトを併用して受付する自治体が増えています。
佐賀県上峰町のように、直営サイト限定の返礼品を掲載する自治体も出てきています。
一方で自治体が直営サイトだけで新規集客を行うハードルは高く、また利用者にとってはポータルサイト経由だからこその利便性やポイント還元も存在します。
各ポータルサイトの掲載自治体数は引き続き成長を続け、主にリピーターなどの指名顧客を対象にした自治体直営サイトの充実も強化するという「併用」が進むと予測されます。
ふるさと納税 2020年キーワード⑥「返礼品が無い寄付」
2019年は首里城再建に向けたプロジェクトへのふるさと納税を通した寄付金額が8億円を突破したり(※)、九州大雨や台風による災害支援にも数億円の寄付が集まったりと、被災地を助けるために自分にできることのひとつの手段として「ふるさと納税を活用した災害支援」がある、という認知が拡大した年でした。
今後も返礼品目的ではなく、困っている地域や人を助けたい・応援したいという目的の寄付は増えていくことが予測されます。
※参考:PRTIMES
ふるさと納税 2020年キーワード⑦「配送の効率化」
各自治体は、納められた寄付金額の中から返礼品の仕入れ原価だけでなく「配送費用」も捻出してます。
そして昨年12月、ポータルサイトの「さとふる」が、ふるさと納税のお礼品を経由地までまとめて輸送することで北海道の自治体の配送費用負担を約15%削減した、と発表しました。
配送コストを下げることで少しでも自治体が使える税収が多くなれば「ふるさと納税」の本来の趣旨に、より近づきます。
現状は各自治体が配送会社に依頼して納税者の自宅まで届けていますが、さとふると同様の取り組みを各自治体が連携して行うこともできるはずです。
配送コストの効率化には、まだ改善の余地があります。
今年は配送コスト削減の工夫・取り組みが増えることが予測されます。
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以上、2020年のふるさと納税業界トレンド予測でした。
「ふるさと納税ガイド」は誰もがふるさと納税をもっと身近に感じ、もっと楽しんでもらえることを、そして魅力ある自治体の財源確保につながることを目指し、今後もサービスの改善に努めて参ります。