受け入れ寄附金額の推移でわかる、ふるさと納税 人気自治体の歴史

ふるさと納税の受け入れ寄附金額の推移

まずはふるさと納税の受け入れ寄附金額と受け入れ件数の推移を見ていきましょう。

ふるさと納税の受け入れ寄付金額の推移グラフ

2008年から始まった2011年に東日本大震災の災害支援の一つの形として注目を浴び、その後2012年のふるさとチョイスOPEN、2014年のふるなび、さとふるOPENといった複数のふるさと納税サイトの開設によって世間一般への認知が広がっていきました。その後、2015年の制度改正により控除限度額が2倍になった後の返礼品競争の激化により一気に受け入れ寄附金額が増加していきました。

2024年には受入金額は約1兆2727億円、受入件数は約5,878万件となっており、今後もさらなる市場規模の拡大が予想されています。

ふるさと納税ガイドではふるさと納税の歴史を次の3つに分けて解説することができると考えています。

• 2008年-2014年　黎明期
• 2015年-2019年　成長期
• 2020年-現在　発展期

それぞれの時期についてどのような自治体が受入金額が大きかったのかということを順に見ていきましょう。

ふるさと納税黎明期：政令指定都市にふるさと納税が集中【2008年-2014年】

2008年に始まったふるさと納税ですが、始まった当初は「返礼品」を用意していない自治体も数多く存在しました。また、ふるさと納税という言葉自体が世間一般に認知されておらず、高額所得者を中心に一部の人のみしか行っていませんでした。

また、ふるさと納税サイトも存在しなかったため、より良い返礼品を選ぶという行為やふるさと納税の手続きも難しい時代でした。

そのため、東京都の各自治体や地方の政令指定都市などが受入金額の上位を独占しており、地方の小さな自治体はまったく寄付金が集まらない状態でした。

2008年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2009年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2010年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2010年は東京都の自治体が6個、政令指定都市が3個(神戸市、大阪市、千葉市)と、大きな自治体への寄附金額の集中が最も見られた年でした。

2011年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2012年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2012年9月にはふるさと納税サイトの老舗「ふるさとチョイス」がオープンしました。

2013年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2013年は鳥取県米子市や佐賀県玄海町など、2020年現在でも人気の返礼品を数多く出す自治体がランクインし始めました。2012年のふるさとチョイスOPEN以降、返礼品で自治体を選ぶ傾向が見始められた年であったことがわかります。

2014年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2014年7月には「ふるなび」が、2014年10月には「さとふる」がそれぞれオープンしました。寄付する自治体を「返礼品で選ぶ」という文化が世間一般に徐々に浸透し始めたのもこの時期です。また2014年はふるさと納税の大人気自治体の一つである宮崎県都城市がTOP10入りを果たした年です。宮崎県都城市はこの年から受入金額を増やし続け、累計受け入れ寄附金額で第3位となっています。

ふるさと納税成長期：返礼品競争が加熱しふるさと納税ブーム到来【2015年-2018年】

2015年の制度改正によりふるさと納税の控除限度額が2倍になったことを受け、ふるさと納税に対する世間の注目度が一気に増し、ふるさと納税ブームが巻き起こりました。ふるさと納税サイトの数もどんどんと増え、返礼品競争が加熱したのもこのタイミングです。

ふるさと納税の受入金額も大きく増加していく一方、ふるさと納税に力を入れている自治体とそうでない自治体の格差も広がっていきました。

2015年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2015年は「干物」の返礼品が有名な静岡県焼津市、「うなぎ」の返礼品が有名な鹿児島県大崎町などがTOP10入りをしています。

2016年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2016年は大阪府泉佐野市がふるさと納税に力を入れだした年です。大阪府泉佐野市は2018年までのデータで累計受け入れ寄附金額が全国の自治体で第1位となりました。

2017年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2017年は大阪府泉佐野市が魅力的な返礼品で圧倒的な寄附金額を集めました。また、この年に上位になった10自治体のほとんどが、現在も多くの寄附金額を集める人気自治体となりました。

2018年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2018年はAmazonギフトカードやHIS旅行券など、金券類を返礼品として用意した自治体が大きく受け入れ寄附金額を増やし、TOP10入りを果たした年となりました。なお、金券類を返礼品として用意することは、2019年6月の制度改正により明確に禁止となり、現在では返礼品として金券はありません。

ふるさと納税発展期：ルール整備がなされ誰もが安心して行うふるさと納税へ【2019年〜現在】

「返礼品3割ルール」の厳格化により「現在のふるさと納税」の形になったのが2019年です。この年から現在までふるさと納税は安定的な成長を続けており、利用者はどんどん増えています。現在はふるさと納税を行うことは多くの働く人にとって常識になりつつあります。

2019年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2019年6月の「返礼品は調達割合3割以下、地場産品に限る」というルールの厳格化によりふるさと納税の情勢は大きく変化しました。僅かな期間ですが、Amazonギフトカードを注目点として押し出した泉佐野市が1位を獲得した以外は、海鮮類のラインナップが豊富な北海道、肉類を中心に魅力的な返礼品が多い九州がランキングをほぼ独占する結果となりました。

また、ふるさと納税の寄付先の多様化が進み、上位10位の自治体が受入金額全体に占める割合は大きく低下しました。

2020年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2020年は全自治体の受入金額合計が前年より約1850億円増加したため、多くの自治体が昨年よりも受入金額を伸ばしました。一方、王者である大阪府泉佐野市がその期間のほとんどで受入が認められなかったため、第1位の自治体が全体のうち占める割合は大きく減少しました。

2021年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2021年は全自治体の受入金額合計が前年より1500億円以上増加したため、多くの自治体が昨年よりも受入金額をさらに伸ばしました。泉佐野市の復活や、海鮮系に強みを持つ福井県敦賀市、ハンバーグが大人気の福岡県飯塚市などが新たにTOP10入りしました。

2022年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2022年は全自治体の受入金額合計が前年よりさらに1300億円以上増加したため、多くの自治体が昨年よりも受入金額をさらに伸ばしました。佐賀県上峰町の復活や、3年前からふるさと納税に力を入れ始めた京都市がついにTOP10入りしました。

2023年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2023年は第1位の宮崎県都城市、第2位の北海道紋別市が受入金額を昨年より減らす一方、第10位の京都府京都市でも100億円超となりました。家電製品などに強みを持つ愛知県名古屋市や、海産物に強みを持つ静岡県焼津市が再登場したほか、北海道別海町が新たにランクインしました。

2024年：ふるさと納税受け入れ寄附金額TOP10

2024年は兵庫県宝塚市が第1位となりました。こちらは特定の個人からの寄付が順位を大きく押し上げた、特別な事情となっています。

そのため実質的にふるさと納税制度で最も多くの寄付金額を集めたのはイクラやサーモンなどで大人気の北海道白糠町となりました。北海道は5位の別海町、6位の根室市、9位の紋別市とベスト10に4つの自治体がランクインした結果、都道府県別では第1位となりました。

また宮崎県は昨年1位だった都城市がランクダウンする一方、第7位に宮崎市が入ることで都道府県別で第2位の結果となりました。

更に第10位には鮭などで人気を集める宮城県気仙沼市が初登場となりました。

まとめ：総受入金額から見る人気自治体ランキング(2008年-2024年)

ふるさと納税が開始された2008年から各自治体の受入金額が公表されている最新の2024年データまでを元に、ふるさと納税の累計の受け入れ寄附金額のランキングは以上のようになりました。

ウニやイクラを中心とした海産物に強みを持つ北海道の自治体が3つ、牛肉や豚肉に強みを持つ九州の自治体が3つランクインする中、ふるさと納税に自治体をあげて注力している大阪府泉佐野市や茨城県境町などもランクインしています。

ふるさと納税を誰もが当たり前に行う時代に

2025年のデータはまだ発表されていませんが、ふるさと納税を行うことは、もはや定番になりつつあり、さらに多くの人にその魅力が広がっています。

ふるさと納税の返礼品に関するルールが厳格化されましたが、それでも消費者にとって大変お得な制度であることは多くの人に認知されており、もはや「ふるさと納税を行うことは当たり前」の時代となりました。

まだふるさと納税をやったことがないという方は、これからより「当たり前」になっていくであろうふるさと納税をこのタイミングで始めてみてはいかがでしょうか？