
お得にふるさと納税をしたい、そしてできるだけ簡単に寄付金の控除を受けたいという方におすすめなのが「ワンストップ特例制度」です。
ふるさと納税の手続きを行う(ご自身が選んだ自治体に寄付を行う)際には、本来、確定申告で寄付金税額控除申請をしなければなりませんが、「ワンストップ特例制度」を利用すれば、簡単に控除申請が可能です。
この記事では、ワンストップ特例制度の流れ、申請書類の書き方の記入例、締め切りに間に合わなかった場合の救援策をご紹介します。
※本記事は、叶税理士法人/叶会計事務所の監修のもと作成しております。
目次
まずは基本!ワンストップ特例制度とは?

ワンストップ特例制度について図解
ふるさと納税で応援したい自治体に寄付を行うと、お得な特産品を返礼品としてもらえます。そして寄付した金額は税金の控除を受けることが出来ますが、申告の手続きが必要です。
ワンストップ特例制度は、控除に必要な申告の手続きの一部を寄付先の自治体が代行してくれる制度です。
「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」に記入し、本人確認ができる書類を準備し、寄付した自治体に郵送申請するだけなので非常に簡単です。
ワンストップ特例制度を「利用できる人・条件」
確定申告制度 | ワンストップ特例制度 | |
手続きの 回数 | まとめて年1回のみ | 寄付の度に書類の返送が必要 |
概要 対象者 | ・1年間の寄附をまとめて申請 | 以下の2つの条件を両方満たす方 ①寄付先の自治体が5つ以内 ②他の事由で確定申告をする必要がない |
こんな方に おすすめ | ・5つ以上の自治体に寄付する方 | ・確定申告の手続きが面倒な方 |
ワンストップ特例制度を利用して寄付金控除の申請を行う方法は誰でもが利用できるわけではなく、次の2つの条件をどちらも満たす必要があります。
条件①確定申告を行う必要がない給与所得者であること
1つ目は「確定申告を行う必要がない」給与所得者であることです。以下に該当する方などはたとえ給与所得者であったとしても、申請の利用はできません。以下をご確認の上、該当する方は確定申告で行う必要があります。
- 年収が2,000万円を超える方
- 医療費控除などを利用するため確定申告を行う必要がある方
- 上場株式を保有しており、取引で出した損失を申告する方
- 2カ所以上から一定額を超える給与を得ている方
- 給与以外に副業などの収入があり、その収入額が20万円を超える方
- 個人事業主の方
- 不動産収入、ゴルフ権・不動産売買の収入がある方
- 公的な年金以外に所得がある年金受給をされている方
条件②ふるさと納税先の自治体が5カ所以内であること
2つ目は1年間に行ったふるさと納税先の自治体が5カ所までであることです。1つの自治体に2回以上ふるさと納税を行っても1カ所としてカウントされます。
この2つの条件をどちらも満たしていれば、「ワンストップ特例制度」を利用することが可能です。逆に、この2つの条件のうちどちらか1つでも満たさない場合は確定申告をする必要があります。確定申告が必要な方はこちらの記事も合わせてご覧ください。

ワンストップ特例制度の「利用の流れと申請スケジュール」
ワンストップ特例制度「利用の流れ」
ふるさと納税後に行うワンストップ特例制度を利用した申請の流れをご紹介します。

ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用する流れについて図解しています。
- STEP1返礼品選びふるさと納税を行う自治体を決め、返礼品を選びましょう。
- STEP2寄付金を支払う申込時に「ワンストップ特例制度を利用するかどうか」を記載する欄がある場合、「利用する」にチェックを入れるようにしてください。
- STEP3返礼品の受け取り返礼品の受取時期は商品の在庫、入荷時期、自治体によってタイミングは異なり、ステップ4と前後する場合もあります。
- STEP4寄付金受領証明書と申請書の受け取り寄付金税額控除を行うための申告特例申請書が自治体から届かない場合、もしくは紛失した場合は、自治体に送付を依頼するか前述した通り総務省のホームページからダウンロードして作成しましょう。
寄付金受領証明書はワンストップ特例制度を利用する場合、利用機会はありませんので保管していればOKです。 - STEP5申請書を記入し郵送寄付金税額控除に係る申告特例申請書と必要書類を一緒に封筒に入れ、ふるさと納税をした該当の自治体に郵送します。
ワンストップ特例制度を利用した控除申請は、各自治体それぞれに行う必要があります。また1カ所の自治体に2回以上寄付をした場合も、その都度申請が必要ですのでご注意ください。
ワンストップ特例制度「申請スケジュール」
ワンストップ申請を行うスケジュールを確認する前に、知っておきたい申請期限から確認しましょう。
ワンストップ特例制度の申請期限は翌年1月10日
ワンストップ特例制度を用いた申請の期限は、寄付をした翌年の1月10日です。この日までに各自治体に申請書類が必着となります。
年末ギリギリにふるさと納税を行った人は、自治体から申請書が届くのを待っている時間がない場合があります。その際は、総務省のホームページからダウンロードして申請書を作成、郵送すると良いでしょう。
ワンストップ特例制度「申請後〜控除確認までのスケジュール」
続いて申請を行い、控除が行われるまでのスケジュールを見ましょう。
- STEP1翌年1月10日までワンストップ申請を行う
- STEP2送付後2週間程度申請を行った自治体より「特例申請受付書」が届きます
※すべての自治体が送付しているわけではありませんので、届かない場合は直接ワンストップ申請を行った自治体に確認が必要です - STEP3翌年6月頃控除額が差し引かれた「住民税の決定通知書」が現住所を所轄する自治体から届きます
ワンストップ特例申請を行った後、引越しをしてご住所や電話番号など申請内容が変更となった場合は、「申告特例申請事項変更届出書」を提出するようにしましょう。
変更届出書にはすでに提出した申請書に記載した内容と変更後の住所、氏名、電話番号などを記入し、申請書と同様に1月10日までに先に申請した自治体に郵送してください。
申請が受理されると「特例申請受付書」が届きます
前述した通り、ワンストップ特例申請の申請期限は基本的に1月10日です。原則これまでに各自治体に申請書類などが届いていなければなりません。しかし自治体に書類が届くタイミングが1日、2日程度遅れた場合でも、期限内に到着したとして処理をしてくれる自治体があることも事実です。
これは各自治体判断にゆだねられるため、絶対大丈夫だとは言い切れませんが、まずは申請をしてみるのも1つの方法かもしれません。申請後、お手元に受け付けをしたことを知らせる「特例申請受付書」が届けば、申請が受け付けられたことになります。
もし届かない場合は、申告した自治体に直接電話で確認してみましょう。
住民税決定通知書でふるさと納税の控除がしっかりされたか確認する方法についてはこちらの記事を合わせてご覧ください。

ワンストップ特例制度「申請の期限を過ぎた場合の対処法」
申請期限を過ぎてしまった場合は、確定申告によってふるさと納税の寄付金控除を行うことが必要です。
ワンストップ特例制度を利用した場合でも、確定申告を利用した場合でも、最終的な控除額は同額となります。(ワンストップ特例制度では住民税のみの控除、確定申告で寄付金控除申請をした場合は、所得税の還付と住民税の控除の組み合わせとなります。
確定申告の手順に関する詳しい説明はこちらの記事も合わせてご覧ください。

ワンストップ特例制度の「申請に必要な書類」
ワンストップ特例制度を利用し申請するにあたって、揃えるべき書類について解説していきます。ワンストップ特例制度を利用するには、自治体から送られてくる「申請書(寄付金税額控除に係る申告特例申請書)」に加え、個人番号(マイナンバー)を証明するための書類が必要です。
これらは、マイナンバーカードの所持状況などによって必要な書類が異なりますので、まずはこちらの診断チャートより、必要な書類を判断してください。
マイナンバーカードを持っている方は次の2つの書類を提出すればOKです。
- 寄付金税額控除に係る申告特例申請書
- マイナンバーカードのコピー(両面)
マイナンバーカードを持っておらず、マイナンバー通知カードを持っていて、通知カード記載の「名前と住所」が住民票と一致している方は、次の3つの書類を提出すればOKです。
- 寄付金税額控除に係る申告特例申請書
- 通知カードのコピー(表面)
- 身分証のコピー
上記に該当しない方または、マイナンバーカードやマイナンバー通知カードを持っているが見つからない方は、次の3つの書類を提出すればOKです。
- 寄付金税額控除に係る申告特例申請書
- 個人番号が記載された住民票の写し
- 身分証のコピー
ここからは各書類について詳細に解説していきます。
寄付金税額控除に係る申告特例申請書について
「申請書(寄付金税額控除に係る申告特例申請書)」はふるさと納税を行う時にあわせて「ワンストップ特例制度の利用」を申請すれば、ふるさと納税をした自治体から「寄付金受領証明書」と共に送付されます。
「申請書が届かない」、「申請書が届いたが紛失した」などの場合は、次の2つの方法で申請書を手に入れることができます。
- 寄付した自治体に連絡して再度送付を依頼する
- 総務省のホームページからダウンロードして印刷する
※クリックで総務省のホームページからダウンロードできます。
マイナンバー通知カード廃止に伴う対応について
通知カードは令和2年5月25日に廃止され、マイナンバーの通知は個人番号通知書を送付する方法に変わりましたが、既に通知カードをお持ちの方に通知カードに記載された氏名、住所等が住民票に記載されている事項と一致している場合に限り、引き続き通知カードをマイナンバーを証明する書類として利用できます。
住民票の写しについて
住民票の写しは、市役所や役所の出張所等で受け取ることができますが、1通あたり300円の発行料が必要となります。原則原本の送付が必要となるため、申請数分の費用負担が必要となります。
正式なルールではありませんが、「住民票の写しのコピー」でも受け付けてもらえる自治体が多いのが実情となっており、そのようにすることで費用を節約することができる場合もあります。
身分証のコピーについて
身分証(本人確認書類)のコピーは以下のいずれかをご用意ください。
<以下のいずれか1点>
- マイナンバーカードの表面の写し
- 運転免許証の写し
- パスポートの写し
- 在留カードの写し
- 身体障害者手帳の写し
- 精神障害者保健福祉手帳の写し
<以下のいずれか2点>
- 健康保険証の写し
- 年金手帳の写し
- 印鑑登録証明書の写し
- 児童扶養手当証書の写し
- 公共料金の領収書の写し
これ以外にも各自治体が、本人確認ができる書類として公的に認めたものであれば差し支えありません。
申請に必要な書類の郵送には規定の封筒などはありませんので、ご自身で用意した封筒に切手を貼って申請しましょう。また、自治体によっては切手代を負担しなくて良い返送用封筒が同梱されている場合もあり、その場合はそちらを利用するといいでしょう。
(ファックスやメールでの送付は認められていません。)
ワンストップ申請書の「書き方(記入例つき)」

ワンストップ特例制度の申告特例申請書の記入例
では申請書の記入方法を下記にご紹介します。
- 日付
書類を提出する日付を記入します。 - 住所、電話番号など
所定の箇所に、ご住所、電話番号、氏名、性別、生年月日を記入します。 - 個人番号
マイナンバーをご記入ください。 - 当団体に対する寄付に関する事項
自治体より届いた「受領証明書」に記載されている内容に基づき、寄付をした日付と寄付金額を記入します。 - 申告の特例の適用に関する事項
①と②の両方の四角にそれぞれチェックを入れてください。①のチェック欄は、確定申告をする必要がないことを自己申告する欄、②のチェック欄は、ふるさと納税をした自治体の数が条件である「5カ所」以内であると自己申告する欄です。 - 住所、氏名
上記で記載した住所、氏名を再度ご記入ください。
必要書類を各自治体に送付する前に、右上枠内の所定の箇所に捺印を忘れないようにご注意ください。1カ所の自治体だけでなく何カ所かの自治体に控除申請をする際は、特に書類の送付先間違いや書類の不足などがないか再度確認しましょう。
ワンストップ特例制度「申請書の送付方法・送付先」
申請書の記載が終わったら、本人確認書類などの必要な書類を同梱して送付します。自治体によっては切手代が不要な「返送用封筒」を送ってくれる自治体もありますので、返信用封筒がある場合はありがたく利用させてもらいましょう。
返送用封筒がない場合または紛失した場合は、自分自身で封筒を用意して切手を貼って送ることになります。(封筒は何でも構いません)
ワンストップ特例申請書の送り先は、各自治体毎に担当課の名称が異なります。宛先については各自治体に問い合わせるのが最も確実です。
確定申告すると取り消される?ワンストップ特例制度の注意点
ふるさと納税の寄付を5つの自治体以上、たとえば7自治体に対して行った場合に、条件内の5カ所までワンストップ特例制度で行い、残りは確定申告で行う、という方法をとることはできません。
また確定申告で寄付金控除を行うと、先に行ったワンストップ申請は無効となりますので注意が必要です。
さらに、ふるさと納税を行う自治体を5カ所以内にするつもりが、結果6カ所になってしまったというケースも想定されます。この場合、すでに5カ所の自治体に対してワンストップ申請を行っていたとしても、確定申告で6カ所分寄付金控除申請を行うことで、前述の通り無効となるため、すでに受け付け済みのワンストップ申請の撤回にかかる手続きは不要です。
これ以外にも下記のケースに該当することとなった場合は、確定申告を用いて寄付金控除をする必要が生じます。
住宅ローン控除を受けようとする場合
住宅を新たに購入した、もしくはリフォームなどで増改築をした場合に、住宅ローン控除やリフォーム減税を受けることができます。この手続きは初年度は必要書類を準備した上で、確定申告で行う必要があります。
会社員の方は、初年度に確定申告で住宅ローン控除を申請すれば、翌年からは「住宅ローンの年末残高証明書」などの提出をすれば年末調整で対応してもらえますので、その場合には確定申告は必要なくワンストップ特例制度で申請することができます。
医療費控除を受けようとする場合
年間に支払った病院の治療代などが10万円を超える場合は、高額医療扱いとなり、医療費の控除として還付金を受け取ることができます。医療費控除は本人のみならず、生計を共にする子どもなどの医療費も該当し、確定申告で申請することが必要です。
そのため、医療費控除を受けようとしている方は、ふるさと納税の寄付金控除に関しても確定申告で行う必要があります。
給与以外の所得が20万円を超える場合
会社員などで給与所得を受けているが、別途副業をしていたり、不動産を保有していることで家賃収入を得ていたりするケースもあります。この場合、給与を除いた副業は不動産・株の売買などの収入が20万円を超える場合は、確定申告を用いた所得の申告が別途必要です。
ご紹介してきた通り、住宅ローン控除(1年目のみ)や医療費控除、給与以外の所得が20万円を超える場合などは、ふるさと納税を行った自治体の数が5カ所以内であっても、ワンストップ特例制度は利用できません。
この場合は、確定申告でそれぞれの控除申請、所得申請を行う際に同時に、ふるさと納税の寄付金控除も行う必要があります。
確定申告で寄付金控除を申請するには、自治体から郵送された「寄付金受領証明書」が申請時に必要となりますので、無くさないように保管しておきましょう。(紛失の場合は、自治体に問い合わせをすることで再発行の手続きを行うことができます)
ワンストップ特例制度「動画やマンガで解説」
ふるさと納税ガイドが提供するYouTube動画「ふるさとチャンネル」では、ワンストップ特例制度を分かりやすく解説するオリジナル動画を公開中です。
また、ワンストップ特例制度の条件や流れを簡単に理解したい方向けにはマンガもご用紙していますので、是非ご覧ください。
ふるさと納税でお得に返礼品を堪能しよう!
ふるさと納税はワンストップ制度を活用することで誰でも簡単に利用することができます。まずはふるさと納税の返礼品をランキングからチェックしてみましょう。